コワーキングスペース運営者が知っとくべき知識(基本編)
突然ですが「コワーキングスペース運営者が知っとくべき知識」という超偉そうなタイトルで何本かブログを書いてみたいと思います。
前置き
なんでこういう文章を書こうかと思ったかというと、自分のコワーキングについての知識が中途半端な上、いろいろ忘れてしまっていたからです。そうなると、人に聞かれた時にうまく答えられないんです。一応コワーキングに詳しい人を自称していたというのに、新聞記者の方に尋ねられて「うっ……ええと…」と、詰まってしまった経験がありました。
つまり、自分のために知識をまとめておこうと思いました。
ぜひ、ご活用いただければと思います。
※実は最初NAVERまとめで作っていました。しかし、情報を追加するにつれ、構成を構造化できないのがしんどくて、なんとも読みにくいシロモノになってしまいました。そこで、こっちのブログに移すことにしました。
コワーキングとは?
まずは基本。コワーキングとはなんでしょう。
コワーキング(Coworking)とは、事務所スペース、会議室、打ち合わせスペースなどを共有しながら独立した仕事を行う共働ワークスタイルを指す。
コワーキング - Wikipedia
主にフリーランス(個人事業者)およびスモールカンパニー(小規模法人)が、オープンなワークスペースを共用し、各自が自分の仕事をしながらも、自由にコミュニケーションを図ることで情報や知見を共有し、協業パートナーを見つけ、互いに貢献しあう「ワーキング・コミュニティ」の概念およびそのスペースを指します。
コワーキング協同組合 :: コワーキングとは
文章で説明するともどかしいですが、百聞は一見に如かず。Googleで「コワーキング」を画像検索すると、会議室のような部屋に人が集まって、大きな机を囲んでパソコンに向かっている画像がたくさん出てきます。もくもくとパソコンに向かっている人もいれば、隣同士談笑している人もいたり、立って他の人と会話している人もいますよね。年齢も性別もさまざま。(ちょっと男性が多目ではありますが)
さまざまな人が同じ場所にいて、各自はそれぞれ自分の仕事をしています(同じ仕事をしてる場合もあります)。そして、そこにはゆるやかなコミュニケーションが生まれています。これがコワーキング。
コワーキングスペースって何?
コワーキングするためのスペースです。シェアオフィスが併設されていたり、会議・セミナー等のイベント会場として利用されることもあります。
シェアオフィスとどう違うの?
良く聞かれます。「シェアオフィス」はコワーキングという言葉が普及するもっと前からありました。それとどう違うのでしょうか。
ふつう、シェアオフィスをワークスペースとして利用しようとするとき、「どんな施設か?どんなサービスが利用できるか?」が検討のポイントとなります。シェアオフィスの運営側は施設の特徴(設備や交通の便、価格など)をアピールします。そこに集う人たちがどんな志向をもっているか、どんなつながりを作っているかということは二の次の話です。
つながりの仕事術~「コワーキング」を始めようp.79〜p.81
(中略)
そもそも、なぜコワーキングスペースを利用するのでしょうか。レンタルオフィスやシェアオフィスになくてコワーキングスペースにあるもの、ノマドワーキングになくてコワーキングにあうものはなんでしょう。利用者目線での、
最もシンプルな答えは「ちょっと声をかけられるところに、仲間がいること」「つねに新しいワクワクする出会いがあること」です。
(中略)
いろんな方々と出会いながら、あれこれ気軽に話せる仲間を増やす、ディスカッションの中から協働プロジェクトが生まれる………。それがコワーキングスペースの魅力の書くではないでしょうか。
シェアオフィスは、安価に事務所を手に入れたい個人・小規模事業者や、地方営業所の拠点として使いたい方に重宝されています。多くは壁・パーティションで仕切られ、集中して仕事できるようになっています。人とのコミュニケーションは少なめ。
シェアオフィスは仕事する「場所」が中心、コワーキングスペースはそこに集まりコミュニケーションをとる「人」が中心となっています。
コワーキングっていつごろ始まったの?世界初のコワーキングスペースはいつどこにできたの?
正確には把握できないのですが、コワーキング類似の働き方は昔からありました。
はっきりコワーキングという言葉を使ったもっとも古いスペースは2005年8月8日より、Brad Neuberg氏がサンフランシスコにあるSpiral Museというヒーリング施設を間借りしていた場所と思われます。
Coding In Paradise: Coworking - Community for Developers Who Work From Home
各種リラグゼーション・サロンのような所のようです。仕事の合間には、ヨガやメディテーションなどを行ったとか。
仕事の合間に整体ができたり、アロママッサージができるコワーキングスペースが日本にもありますね。
Coworking: Community Office Space for Writers and Programmers
写真を見ると、建物は緑に囲まれ、部屋の壁にはアートが飾られていて独特の雰囲気です。キッチンもあります。リラックスして仕事できそうですね。
Brad Neuberg氏は1年後、Spiral Museのスペースをクローズし、その後「Hat Factory」をオープン。Hat Factoryは2010年まで営業していました。
現存するもっとも古くからあるコワーキングスペースは?
2006年11月に作られたサンフランシスコの「Citizen Space」は、現在でも営業しているもっとも古いコワーキングスペースの一つです。
Citizen Space | Coworking in San Francisco | Coworking San Jose
Jellyって何?
コワーキングスペースでは、オープンなイベントに「◯◯Jelly(例:カレーJelly、blog Jelly)」と名づけたりしていますね。また、コワーキングスペースではない場所でコワーキングする会をJellyと呼んだりします。
このJellyって何なのでしょう。
2006年、アメリカ・ニューヨークで、こんな出来事がありました。
オフィスでなく自分の家で働くことがお気に入りだった起業家のアミット・グプタさんとルーク・クロフォードさんは、一方で従来のオフィスにあった自然な情報共有や仲間意識が恋しくなりました。そこで、ふたりは友人たちに声をかけ「うちに集まってみんなで(別々の)仕事をしようぜ!」と呼びかけたのです。
つながりの仕事術~「コワーキング」を始めようp.18〜p.19
これが世界で初めて開催された、「Jelly」です。
このイベントがとても価値あるものだったので、二人は定期的に開催していきます。
こういった集まりは「Jelly」(ジェリー)と呼ばれるようになりました。命名の由来は、豆型をしたカラフルな砂糖菓子「ジェリー・ビーンズ」から来ています。このジェリー・ビーンズのように、色(職種)の違う人たちが集まることで、素晴らしい味の商品(空間)が生まれているということから名付けられました。
つながりの仕事術~「コワーキング」を始めようp.20
そんなJellyの様子の動画はこちら。Jellyの雰囲気がよくわかります。とても楽しそうです。
http://vimeo.com/246107
アミットさんとルークさんのJellyのサイトです。
Jelly -- Working together is more fun for everyone!
初めてコワーキングスペースに行くなら、Jellyがおすすめ
Jellyは馴染みのない言葉であることから、「なにか特別なことなのでは」と身構える人もいますが、そんなことはありません。
コワーキングに馴染みのない方でも参加しやすいよう、特典があったり、何かイベントを組み込んだりテーマがあったりします。
また、たくさんコワーキングスペースがある中で自分にあった場所を見つけるために、Jellyにまずは参加してみるというのもいいと思います。
続きは、日本でのコワーキングの広がり編です。