仙台のコワーキングスペース「ノラヤ」戦う管理人

仙台市青葉区、地下鉄北四番丁から徒歩8分のコワーキングスペース「ノラヤ」を運営している人の赤裸々なブログ。

二日間の東京周辺コワーキングスペース等めぐりをして「コワーキング」ということについて実感したこと

(前置き)
思い起こせば、私の意識はここ3ヶ月でがらっと、変わりました。
昔は固かった。1月に仙台市の起業セミナーを受講したとき、そして2月当初に「仙台にワーキングスペースを作ろう!」とブログに書いた時、私は「静かで、知的で、リラックスできて、集中して仕事できる場所」をつくろうと思ってました。壁には大きく「静かに!」って貼ったりしているような、ね。お品があって、図書館の自習コーナーのイメージです。
「コワーキング」という言葉は知っていても、喋ったりコミュニケーションを取ったりするのが苦手な私は、あまり前向きにとらえられませんでした。なんでコワーキングしなきゃいけないの?と。

実体験、というのは強い。
旅、本、勉強、講演、イベント、etc……あらゆる、「実体験」。「私はこう思うのよ、ほら、やっぱり私は間違ってなかったわ」と自分を肯定する体験よりも、始まる前と終わった後を比べて、自分の中の価値観が180度ぐらいがらっと変わる体験の方が、はるかに価値あると思う。
PAX Coworkingさん訪問、そして今回の一泊の旅は、確実にそういう類の体験でした。
今現在、わたくし、かなーーーーりコワーキングに惹かれております
(前置き終わり)

実感したのが、コワーキングスペースは、電源とWifiと机と椅子を提供するだけの場所ではないということ。

ネットカフェやレンタルデスク、仕切られたシェアオフィス、ドトール、スタバ、そういう類のものとどこが違うの?と言われた時の答えが、

この2つなんじゃないだろうか。

コワーキングスペースは、自分を委ねて溶かす場だ

コワーキングスペースでは、場に、自分自身を「委ねる」感じが大きいと思った。その場所に、まったく予想もしなかった人が来て、いろんな新たなことを持ってくる。ちょっとこれ教えて、とか。仕事と全然関係ない共通点を発見したり、とか。普段絶対接することのない業種の人に対し、普段しないような説明の方法で自分の仕事を説明したり、とか。何が起きるかわからないような。
そういう場所にいると、自然と多様性を受け入れられるようになるように思う。実際コワーキングスペースで会った方々は「ゆるさ」のような「溶けている」ような感じがあって、「あー、なんだかこの人達は広い、いいなー」と思いました。コワーキング体験イベントのJellyの語源であるJelly Beansはいろいろなものが混ざっているイメージだけど、日本人なので、どっちかというと味噌汁のほうが近いかも。素材(人)からは、いいだしをだしつつ、他の具材の出汁もしみてあたらしい旨さが生まれる。あ、これ、いい。コワーキングは味噌汁だ。じゃぁコワーキングスペースは鍋じゃないの。(ださい表現ですいません……)
コミュニケーション、と言うと、そういうのが苦手な私は身構えてしまうんですが、「場に委ねる」だと自然体でいられるような気がします。そして、その場にゆるやかに流れをつくるべく、必要ならちょっとかきまわすかんじで、運営者(スタッフ)の人がいるんじゃないかと思いました。
以前PAXでお会いした滝口さんは「コワーキングは人生をシェアする」ってすげーいい話を書いてます。委ねて、溶かして、新しい味になった自分を楽しむことができるんじゃないかな。

コワーキングスペースは、その地に新たな価値を生み出す

これも、行って帰って来て自分の変化にびっくりしたんですが。
自分は正直、東京は苦手です。人ごみ嫌いです。行くたび、怖くて怖くてたまりません(とろい)。でも東京から戻って、「あのコワーキングスペースがあるから、また、あの町にいきたいな」っていう感情が自分の中に生まれたんですよ。これはびっくり。
普通、便利な場所だから、人が集まるから、来やすいから、そこに作ろうとするじゃないですか。今回最初におじゃましたZEN Coworkingさんは、あえて、便利な場所にありません。でも私の中では高幡不動といえばZEN Coworkingさんのある場所だと認識されたし、ラーメンおいしかったなとか、今度はおそばやさんにもいってみたいなとか、あと高幡不動尊にもお参りしたいなとか、その周辺にも興味がわいて来ました。
横浜のタネマキさんもそうでした。横浜って自分の人生では全然クロスするところがないんですが、やっぱり、また行きたいなと思いました。
旅をしたくなります。ただの旅じゃなく、仕事しながら。
PAXでお会いした佐谷さんや吉澤さんは「沿岸コワーキング」というプロジェクトをおこなっています。正直な話、今回の旅の前はぴんとこなかったんですが、「そういうことだったのか!」と脳内にフラッシュが光ったかんじです。コワーキングスペースがあることで、単なる観光だとそんなにメジャーじゃない場所でも(失礼!)、新たな価値が作り出せるんだと。
このことは、私の「場所つくるとしたら、家賃高くても、便利なところじゃないと駄目だよなぁ」という思い込みに風穴をあけてくれました。家賃高くて便利なところのコワーキングスペースは、きっと放っておいてもお金のある会社か誰かが作るでしょう。一方で、そうじゃないコワーキングスペースも、あっていいんじゃないの。むしろ、自分の好きな町で自分が価値をあげたいところに作るってのも、ありなんじゃないの。そう思いました。

さて、おまけ。
どうも自分は「狭い」と常々思ってました。ワーキングスペースを作る件にしても、「あれは駄目」「こんなのは嫌」「それは無理」なにごとも否定から入ってしまう。できれば「広い」人になりたい。
今回の旅で、多少「広い」人になれるんじゃないかな、と実は、自分自身の変化も期待してました。
効果ありましたね。いろんなところに行って、体験したり、話を聞いたりすると、確実に固かった部分が溶かされます。
自分の世界が狭いな、なんか頭が固まってるな、思考が行き止まりになるな。そんな状態を自覚したら、旅に出るかわりに、コワーキングスペース行くと、いいと思います。